機械式時計

【Mechanical】香箱に収納されたゼンマイがほどける力を利用して、歯車を動かし、針などを動かすムーヴメントのこと。機械式ムーヴメントを採用した時計のことを指すことも多い。手動でゼンマイを巻き上げる手巻き式と、ローターの回転によってゼンマイを巻き上げる自動巻きの2種類がある。時計は、この機械式と、電池を動力に使用するクォーツ式の2種類に大別することができる。・ゼンマイを動力にする時計。手巻きと自動巻きがある。・ぜんまいを動力源として駆動する腕時計(ムーブメント)の事。腕の振りで巻き上げを行う自動巻きとリューズで巻き上げる手巻きがある。

機械式時計の精度について

機械式時計をはじめて持たれたお客様から、すぐに止まる、時間が狂う、というお話をよく聞きます。
  特に、高価な高級機械式時計をわざわざ買ったのになぜだ?とよく言われます。これは、クォーツ時計に慣れた人にとっては仕方の無いことです。クォーツ時計は動力が電池のため、電池が切れるまでは、使用せずにほおっておいても動き続けます。
  しかし機械式はゼンマイを動力とし、ゼンマイをフルに巻き上げても通常48時間程度しか持ちません。自動巻きでもずっと腕に付けて振ることにより動力を与え続けなければ、やはり48時間程度で止まってしまいます。
  クォーツ時計の精度は、平均月差(1ヶ月の進み、遅れ)が0.3~1.5秒となるのに対し、機械式は平均日差(1日の進み、遅れ)が10~20秒で、最大の場合、月に5分程度時間が狂う(1分程度はあたりまえ)ことになります。
  どんなに高価な機械式時計であっても、どれほどシビアに調整したとしても、安価なクォーツ時計よりも大きな狂いが生じます。(いくら機械式時計であっても、正しい使い方をしているのに1ヶ月に10分も20分も狂う様では異常ですので、時計店でメンテナンスしてもらいましょう。)
  そこで、機械式時計というものはどういったものなのか、なぜそうなるのかを説明し、理解して頂きたいと思います。機械式、クォーツ式に関わらず、針を回転させる機械のことを専門用語でムーブメントと呼びます。
  機械式時計のムーブメントは基本的にゼンマイを動力として、振り子の原理を使ったテンプとガンギ車によって針に繋がる歯車を一定の速度で回転させます。このテンプは毎時1万8千回~3万6千回振動して、それを歯車で減速して、長針、短針、秒針にそれぞれ伝えます。テンプの振動数は一定ですが、メーカーやムーブメントによりその数は異なります。振動数が高いほど精度の高いムーブメントです。(例:ロレックス 28800回、カルティエ 21600回、ゼニス36000回 等)このテンプの振動数が完全に安定していれば、時計は極めて正確に時を刻みます。
  クォーツ時計はこのテンプの振動の代りに、クォーツに電圧をかけたとき発生する非常に安定した電気パルスを使用しています。このパルスを電子回路に流してステップモーターの駆動をコントロールして針を回転させています。このクォーツのパルスは、毎秒32768回=毎時1億1796万4800回となり、テンプの振動数の6553倍にもなります。まずこの違いが機械式とクォーツ式の精度の差になります。
  また、クォーツのパルスは時計の姿勢がどのようになろうと、常に一定です。しかし機械式は、時計の姿勢が変われば、テンプにかかる重力の方向も変わるため、テンプの振動数が影響を受けます。
  また、激しく腕を振った場合も時計に遠心力がかかり、テンプの振動数が影響を受けます。 最近のムーブメントはそうした影響を出来る限り受けないような工夫をこらしていますが、どうしてもテンプの振動数毎時1万8千回が、1万8001回になったり、1万7999回になったりします。(振動数が5回狂ったら1時間に1秒誤差がでることになります)
  また、ゼンマイの巻き具合も影響します。 ゼンマイが目いっぱい巻かれている状態では、動力は安定していますが、少しか巻いていない場合、特にもう少しでほどけきってしまう時は、動力が不安定になり、テンプの振動数が変わってしまいます。そのためどんなに時計技師が、工房で正確に調整したとしても時間に狂いがでてしまうのです。
  さらに機械式時計は、きちんと精度を保つためには2~3年に1度オーバーホールが必要になってきます。しかし、高級機械式時計は精密機械工作技術の結晶です。 最新、最高の部品加工技術と、熟練の時計技師の組み立て技術が組み合わさって初めて誕生する
芸術品です。
  ゼンマイを巻き上げる手間も、多少の時間の狂いも、オーバーホールも、素晴らしい芸術品を所有するための僅かな代償にすぎません。 こうしたことを理解したうえで、高級機械式時計を購入、所有して頂きたいと思います。


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  • 最終更新:2014-06-27 22:27:03

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